生きる、そして命について

色々な愛のカタチ 「あるチンパンジーの物語」

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昔観た忘れられない
ドキュメントがあります。

それは、ある野生のチンパンジーの一族の物語。ボスになった子ども達の成長と、
その母の話。
 
 
チンパンジーの序列の決まりは実力次第。
知恵と力で群の上位に君臨します。
ボスになった息子を持つ母は
自動的に女性グループの上位に位置されます。
また、歳を重ねてた女子は子育ての
ベテランとしてモテる。
(日本男児は見習うべし…?)

というチンパンジー常識を踏まえて
続きを聞いてください。
 
 
その兄弟たちのお母さんチンパンジーが
若い頃に産んだ兄弟たちは、
その群れのボスに君臨しています。
そんな時に末っ子息子は権力争いには
無関心。
ひたすらお母さん大好きっ子です。


その子が育つ過程でボスである長兄は
敵に襲われて腕がなくなり、
一旦はボスの座を追われ、
また弟と協力し合いボスに再度君臨するなどドラマチック展開があるのですが、
今日は末っ子の話を。
(長兄は知恵を、次兄が腕っぷしを分担して
2匹でボスになっていくのです、感動しました)
 

その末っ子は通常子離れする時期になってもお母さんにまとわりつきます。
とにかくかにかく、ひたすら
お母さん、お母さん、お母さん。


しばらくすると悲しいかな、
年寄りで上位の母はモテる女、
新しくまた身籠もります。
さすがに出産すると、末っ子(ではもうないですが便宜上末っ子のままに)
悲しそうに遠くから見つめる息子。

産まれてからは赤ちゃんに手を出して
お母さんに怒られる始末。


そしてそんな中、
悲しい出来事が起こります。
かなりの高齢出産だったからか
赤ちゃんは幼くして死んでしまうのです。

その亡骸をしばらく抱いた後、
母チンパンジーはそっと置いて
その場を立ち去ります。

その時に、わたしが忘れられないことが。


末っ子が赤ちゃんの死体を前に、
最高の笑顔を見せながら
大喜びして踊るように飛び跳ねるのです。
まだ昼まで、
ジャングルの眩い太陽の光と
森林の緑がそれは鮮やかで、
その前で、その光以上の輝きを持って。
彼は長い間、ただ踊っていました。
あの笑顔が(笑いは人間とチンパンジーにしかない感情)目に焼き付いた離れません。
あんな晴れやかな表情を、
わたしは見たことがない。


しかし、高齢だった母。
やっと独り占め出来ると
喜んだのもつかの間、
老衰で死んでしまいます。


末っ子はどうしたか。
母の側から動かず、食べ物をとらずに
あとを追うように、死んでいきます。


わたしは最初、
末っ子が赤ちゃんの死体の前に喜んだ時
なんてひどい、と思ったのですが、
母が亡くなった時の末っ子をみたら。
もう他のことなんか本当に
彼にとってはどうでもよくて。
ひたすらひたすらお母さんしか
いらなかったんだな、と。

しあわせな愛かと言えば違うかもしれないけれど、でも強烈で直向き(ひたむき)で、情熱的に。

ただ、その人ひとりを想う。

そこまで、慕い切ったんだな、と。


いや、しあわせ、なのかもしれないなあ。
あの満面の笑みで手を振り上げて
踊っていた彼は。


そこまで想うって。
想えるって。
それが、彼の命の使い方、 
だったんだな、と
最近は思います。
だだ すごいなと頭を垂れる氣持ちでいっぱいです。


他人には、何がその命にとって
幸いなのかなんて、わかりゃしない。
解りはしないし、しなくてもいい。
自分だけが解っている、使い方を
知っている、隠された宝物のようなモノ。


どうか他者への比較競争などで
その宝物を見失わないで。



本人じゃないけど…
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